「NFTアート」と映画。
本記事ではNFTの概要をざっくりと説明します。
その後に、映画とNFTの歴史について詳しく紹介していきます。
- 映画とNFTの歴史を通じて「NFT」を知ろう
2017年の夏頃から暗号資産を追っています。
それでは『NFT』の概要から見ていきましょう!
※本記事は、「映画に活用されるNFT」を紹介するためだけに執筆されたものであり、NFTの購入を推奨するものではありません。
NFT(Non-fungible token)とは?
NFTとは「Non-Fungible Token」の略称で、「代替(代品)不可能であり、固有の価値を持つデジタルトークン」を意味します。
NFT(Non-Fungible Token)の「Fungible」は「代替可能」(何にでも交換できる)の意味を持つため、NFTは代替不可能トークンとも呼ばれます。
そのため、NFTは希少価値を見出しやすい美術品をイメージするといいでしょう。
NFTのメリット
- NFTは発行後、限りなく偽造が困難です。
NFTはブロックチェーンによって、トークンと所有するアドレスが完全に管理されています。
そのおかげで、各NFTアートの所有者がすぐに分かるのです。
NFTと希少性
- NFTは、ブロックチェーンにより価値が担保されています。
この背景から、NFTは「唯一無二の価値がある」とユーザーから信頼され、いくつかのNFTアートには希少性が生じました。
その結果、高額なNFTアートが誕生したのです。
またNFTは、二次流通における手数料モデルの設定が可能です。
NFTが、デジタルアートとの相性が良いとされる最大の理由です。
NFT全体を盛り上げた「Cryptokitties(クリプトキティーズ)」と「NBA TOP SHOT」
- 2017年にリリースされた「Cryptokitties(クリプトキティーズ)」というデジタルキャットを売買するゲームで、NFTが採用されました。
これはゲーム上で猫を交配させ、新たに誕生したキャットに高値がつく(かもしれない)仕様です。
その値段は、レア度により価値が大きく変動します。
- 2021年初頭にプロバスケットボールリーグの「NBA TOP SHOT」のNFT(ダンクショットなどなどの名シーンがデジタルカードに)が、大きな盛り上がりを見せました。
こちらはプロ野球チップスカードのように、1パックに数枚のバスケ選手のカードが入っているシステムです。
この「NBA TOP SHOT」の流行で、エンタメ業界に「NFTを発行する」流れが定着していったのです。
その中に、映画業界もありました。
NFTのデメリット
「NFT=画像データ」ではありません。
あくまでNFTはトークンであり、画像データとは直接、関係がありません。
つまり、情報として画像データ(アート)がトークンに紐付けられているだけで、厳密には画像データ自体のコピーは可能です。
ただし、NFT発行後のブロックチェーンによる「固有のIDを持つNFT」の部分は、コピーできません。
ですので、NFT自体はオリジナルであると証明できます。
また普通に著作権法の違反である画像データのコピーは作品の盗用にあたるので、そもそもアウトです。
NFTのデメリットのまとめ
話がややこしくなってしまったので、NFTのデメリットをここでまとめておきます。
- NFT全体は、コピーが限りなく不可能
- ただし、NFTに紐付けられた画像データ(アート)だけをコピペして、新たに偽物NFTを作成することは出来る(2021/11時点・もちろん著作権法は違反している)
また、NFTは発展途上であるため、今後は様々な観点から法規制がかかると言われています。
(ほかにも、ガス代の高騰・暴落リスクやNFTは、そもそもアートではないなどの意見がありますが、本記事では割愛します)
それでは映画作品にNFTを活用した事例を、紹介していきます。
映画とNFTの歴史①:2021年3月31日『ゴジラvsコング』が初めてプロモーションにNFTを活用した
NFTを映画のプロモーションとして使用した初のメジャー映画は、2021年3月に公開された『ゴジラvsコング』です。
映画のプロモーションの一環として、ゴジラとコングのレトロなイラストタッチのポスターのNFTが販売されました。
映画とNFTの歴史②:NBAのスターであるレブロン・ジェームズ主演の映画『スペース・プレイヤーズ』も
NBAのレブロン・ジェームズ選手が出演する映画『スペース・プレイヤーズ』では、プロモーションとして無料で9万1000点のNFTを配布しています。
映画とNFTの歴史③:いよいよディズニーがNFTの発行に動き出す
少し前から、背面下で動いているとの報道があったディズニーがいよいよNFTの発行に動き出します。
2021年10月28日に『Disney+』のリリース記念日を祝して、NFTをローンチすることを発表したのです。
「Golden Moments(ゴールデンモーメンツ)」はディズニーをはじめ、ピクサー、マーベル、スターウォーズなどの有名作品から名シーンやキャラクター、アイテムをデジタル化してNFT化されるという豪華な仕様です。
今回、ディズニーとタッグを組んだVeve社は「ユニバーサル」「Marvel」などの大手IPも取り扱っています。
そのため映画ファンとしては、Veve社が発行するNFTの動きに目が離せません。
『スター・ウォーズ』がNFTアートに参戦
veveとDisneyのコラボレーションで、とうとう『スター・ウォーズ』のNFTがリリースされました。
「R2D2」と「C3P0」がゴールドに輝くNFTです。
ちなみに、同商品は一瞬で売り切れました。
その後、VeVe内のマーケットで約10倍の値段で二次流通の場に販売されていました。
それでも、このNFTが偽物でないと断言できるところがいいところですね。
映画とNFTの歴史④:『マトリックス』の最新作にもNFTが
マトリックスシリーズ最新作の『マトリックス レザレクションズ』でも、NFTの販売が予定されています。
2021年11月30日(米国時間)より販売開始で全10万体(1体50ドル)です。
本NFTは少し特殊で、購入後に赤いピルか青いピルを選ばされます。
NFT(アバター)に、『マトリックス』の世界がそのまま再現されるのです。
青いピルを選べば、購入したNFT(アバター)をマトリックスの世界に留めておけます。
一方で赤いピルを取ると、レジスタンスの一員として新たなチャレンジや選択に挑むことができる仕組みです。
映画プロモーションの特典としてのNFTがほとんど
ご覧の通り、映画プロモーションの特典としてのNFTがほとんどです。
しかし、今後はNFTを保有するユーザーのみが観賞できる特典映像やもしかしたら本編まるまるNFT作品なんてのも増えていくでしょう。
映画を用いてアプローチできるNFTの使い方は、無限大です。今後も楽しみです。
まとめ:『パルプ・フィクション』NFTの権利で、クエンティン・タランティーノ監督が映画スタジオに提訴される
明るいNFTの話題ばかり触れてきましたが、やはり利権の面でNFTは揉める火種となりそうです。
映画スタジオの「ミラマックス」は2021年11月16日、クエンティン・タランティーノ監督が販売を計画中の「パルプ・フィクション」のNFT(映画『パルプ・フィクション』のオリジナル脚本など)について、著作権・商標権の侵害と契約違反を理由とする訴訟を起こしました。
つまり、映画のNFTの販売権に関する法廷闘争が開始されたのです。
クエンティン・タランティーノ監督は、『パルプ・フィクション』のNFT発行に強い意志を持っていますが、映画スタジオは「1993年当時に結んだ権利の契約」を盾に抵抗しています。
追記:2022年9月9日、タランティーノ監督とミラマックスは、今後のプロジェクトで互いに協力することで合意しました。
ただ、その合意条件は、明らかにされていません。
映画『パルプ・フィクション』の詳しい解説記事もあります。こちらも、ぜひ。
参考記事:https://www.coindeskjapan.com/159953/