大ヒットとなった映画『国宝』は実話ではありません。
作家・吉田修一氏のオリジナルストーリーです。
ただし実際に3年間。
歌舞伎界の黒衣(舞台補助員)として、作者は綿密に取材をしています。
その上で執筆された小説をベースに、映画『国宝』も製作されました。
そのため「主人公にはモデルがいるのではないか?」と噂されたのです。
本記事ではモデルがいなかった点を踏まえつつ、映画『国宝』の見どころをたっぷりと紹介していきます。
- 映画『国宝』の見どころをたっぷりと紹介
映画『国宝』はどんな話ですか?
映画『国宝』は、任侠の一門に生まれながら歌舞伎役者として芸の道に人生を捧げた男、喜久雄(きくお)の激動の人生を描いたストーリーです。
九州の極道一家の跡取りとして育った喜久雄が、15歳の時に抗争で父の死を目の当たりにし、天涯孤独になるところから始まります。
喜久雄の女形としての才能を見抜いた歌舞伎当主の花井半二郎に引き取られ、半二郎の跡取り息子である俊介と供に、歌舞伎の世界で芸の道を歩み始めることに。
喜久雄の50年にわたる芸の道には、伝統に生きる者たちの栄光と挫折がありました。
作品名 | 国宝 |
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監督 | 李相日(リ・サンイル) |
公開日 | 2025/6/6 |
上映時間 | 175分 |
映画『国宝』のキャスト
映画『国宝』のモデルと噂された人物
- 花井喜久雄:現役最高峰の女形である坂東玉三郎を連想させる
- 小野川万菊:かつて人間国宝と称された六代目中村歌右衛門を想起させる
実話ではない理由として、李相日監督が主人公の花井喜久雄について
「吉田さんが見てきた世界をベースにしたオリジナルのキャラクター」と発言したことがあります。
映画『国宝』の主題歌
映画『国宝』の主題歌は、井口理(King Gnu)が歌唱する原摩利彦 feat. 井口理の「Luminance」です。
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映画『国宝』の見どころ

映画『国宝』の主な見どころはやはり、W主演となった吉沢亮と横浜流星による渾身の演技でしょう。
歌舞伎の経験がない二人。
そのため役作りのために1年半もの間、膨大な稽古を積み重ねて、歌舞伎のシーンに挑んでいます。渾身の演技が、圧巻です。
歌舞伎の伝統と芸の道を巡る人間ドラマ
映画『国宝』では血筋と才能を背景に、伝統を背負った歌舞伎役者たちの激動の人生が描かれています。
芸の道を追い求める主人公・喜久雄の姿を通して、「人間国宝」や「役者」としての葛藤。更には美しい歌舞伎のシーンの裏側にある、伝統に生きる者たちの内奥が描かれており、濃密な人間ドラマを楽しめます。
表面的な美しさとは裏腹に、深い闇に吸い込まれていくような黒ずんだ感情も時折、見え隠れします。
映画『国宝』には芸術の素晴らしさだけでなく、非倫理性の矛盾といった外道と向き合うテーマも混在しています。
映画『国宝』と原作小説『国宝』との違い
原作小説『国宝』の魅力は「清濁あわせ飲む人生」を深く掘り下げた緻密で多層的な物語世界にあります。
そのため原作小説では、映画では味わえない登場人物の複雑な人間関係や心理描写がじっくりと堪能できます。
そもそも原作小説『国宝』は上下巻にわたる長編小説です。
映画『国宝』として歌舞伎役者の生き様を約3時間の映画に収めるにあたり、やむを得ず省略された部分が数多く存在しています。
その上で映画『国宝』と原作小説の最も大きな違いは、表現方法と構成の焦点にあります。
映画『国宝』は圧倒的な視覚表現と感情の濃度に焦点を当て、原作の複雑な要素を大胆に取捨選択して再構築しています。
表現方法こそ異なりますが、どちらも歌舞伎役者の一代記を描き切った素晴らしい作品には違いはなく、両作品を楽しむことで、より『国宝』の世界を没頭できることでしょう。
まとめ

映画『国宝』は必ず観るべき作品です。
歌舞伎未経験の吉沢亮と横浜流星が1年半の稽古を経て挑んだ演技が圧巻です。
また九州の極道一家に生まれた喜久雄が芸の道に人生を捧げる姿が魅力的で素晴らしく、人間ドラマに心を打たれます。
原作小説との違いも含め、映像美と人間ドラマが融合した映画『国宝』は、芸術と人間の深淵を深く堪能できる傑作です。
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