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『オッドタクシー』をネタバレありでラストまで考察【ボールペンの行方も】

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『オッドタクシー』を考察

POINT

『オッドタクシー』のストーリーの軸は、大きく2つです。

  • 女子高生失踪事件
  • アイドルファンが宝くじに当選→SNSにアップ→悪人によるお金の奪い合いに

ここに田中の存在が、後にストーリーのスパイスとして機能していきます。

田中は第4話で、1話分まるごとモノローグという衝撃の登場を果たしたのでした。

衝撃の第4話「田中革命」

第4話「田中革命」の内容は?

1.小学生時代に消しゴムが流行った

2.何の特徴を持たない田中は、激レア消しゴムで注目を集めようとした

3.兄のパソコンからネットオークションで、激レア消しゴムを10万円で購入【タイプミス】

4.親にぶん殴られ、出品者「ditch-11」から激レア消しゴム(笑風亭呑楽の消しゴム)は届かない

5.大人になった田中は、スマホゲーム「ズーデン」にハマる

6.スマホゲーム「ズーデン」のランキング上位者に「ditch-11」の名を見つけて、更に熱中

7.「ズーデン」の激レアアイテム「ドードー」を入手

8.その直後、猛スピードの小戸川タクシーに田中はひかれかけ、スマホを落とす

9.修理したスマホだが、「ドードー」のデータは消えており、田中は小戸川に殺意を抱く

田中の人生を追った第4話では、なぜ田中が小戸川を恨むようになったのかが分かります。

こうして田中の標的が、「小戸川」と「ditch-11」だと判明します。

とけい

個人的にこの第4話がいちばん観ている時に辛く、アニメ『オッドタクシー』から離脱したいと、強く感じた瞬間でした。

しかし田中の存在は『オッドタクシー』において非常に重要な存在であり、物語を最後までかきまわしています。

最終回の13話を考察

最終話では、『オッドタクシー』の謎である色々な伏線が回収されていきました。

『オッドタクシー』のキャラクターが動物だった理由から順に、見ていきましょう。

『オッドタクシー』のキャラクターが動物だった理由

登場人物が動物であった理由は、「小戸川が幼少時代に遭った事故の後遺症」のせいでした。

この伏線を見破るのは、なかなか難しいでしょう。

かつて動物を擬人化したアニメ作品は「しまじろう」など、過去に様々あるからです。

そのため動物がキャラクターである設定に、何の違和感も抱きません。

それにアニメ『オッドタクシー』くらい意味ある「人間戻し」でなければ、そもそも「動物は、実は人間だったんだよ」と、種明かしする必要もありません。

とけい

そういう意味でも、脚本が本当にすごいなと感じました。

改めて『オッドタクシー』を鑑賞すると、実は1話から小戸川のみが「動物視点」であると分かる伏線が張られています。

1話から『オッドタクシー』の伏線はあった

剛力「俺は何に見える?」
小戸川「ゴリラ」
白川「(クススと笑う)」
剛力「まあ、たしかにな。」

第1話「変わり者の運転手」より

最終話で、人間版の剛力が見られるのですが、たしかにゴリラっぽいです。

また小戸川は本当に見えている姿を、ありのままに答えています。

ただしそれでも周りからは、ただのブラックジョークを言ったように受け取られていたのです。

小戸川「この辺じゃ、アルパカはめずらしい」
白川「(失笑)」

偏屈な性格である小戸川が言うセリフですから、違和感も全くありません。

いくつか小戸川が「人を動物に例える」シーンはありましたが、周りからはその全てが小戸川のジョークとして処理されています。

小戸川が一度、顔をみたら絶対に忘れない理由

アニメ中盤では、小戸川の「一度顔をみると、後ろ姿やシルエットだけでも誰かわかる」能力に、医者の剛力が違和感を抱き始めます。

ただこれは、すべて小戸川が病気により、すべての人間が「動物」に見えていたからこそ出来た芸当でした。

幼少の頃の親の姿や標識などが、人間の姿であったことが何よりの証拠でしょう。

白川さんは「アルパカ」だったために後ろ姿が分かりやすかった、というだけです。

現実世界でも、全人口の1〜2%が「スーパーレコグナイザー」と呼ばれる人並み外れた顔認識能力を持っているそうです。

小戸川は「スーパーレコグナイザー」ではありません。

あくまで普通の人間です。

田中がハマりまくったゲームアプリ「ズーデン」

よく考えると、田中がハマりまくったアプリ「ズーデン」は、動物を集めるソーシャルゲームでした。

動物が「動物を集める行為」はさすがに違和感があり、これも「小戸川だけが、人々が動物に見えている」ヒントだったのでしょう。

『オッドタクシー』のヤノ

第7話「トリック・オア・トリート」から登場するヤノは、常にラップ調の韻を踏みながら人と話すクセがあります。

ヤノは悪役です。が、シリアスな展開にも独特な個性を発揮しており、アニメ全体をポップに見せています。

第12話の「たりないふたり」では、ドブに偽金をつかまされたヤノが慌てふためいて末に、「韻を踏むのを忘れる展開」がシュールかつ秀逸です。

本物のラッパーが声優を担当したことで、ヤノの個性がより際立っています。

ヤノと小戸川

最終的にヤノ一行は、小戸川を東京湾へダイブさせます。

本物の金を取り返すため、必死に追った結果です。

こうして二度目の溺死寸前を経験した小戸川は、これを機に「動物の世界」から「リアルな世界」へと視界が切り替わります。

そして、沈むゆく小戸川を助けたのが白川さんだったのでした。

白川さんのカポエラ技は実在する

白川さんの趣味は、「カポエラ」です。

これらカポエラの技は、実在します。

アニメ本編では、カポエラの技名だけで小戸川に怖れられるシーンがありました。

13話ではタクシーごと海に落ちていく小戸川を助けるために、白川さんは服を着たまま海の底まで潜ります。

続けて水圧で開かないはずのドアをカポエラでぶち壊し、さらには泳いで小戸川を陸まで助けています。

小戸川の素性とミスリード

1話からあった怪しげな襖の奥に語りかける小戸川の描写偏屈な性格が混じり合った結果、女子高生失踪事件の犯人が「小戸川ならあり得る」と思ってしまいがちです。

実際は、猫を隠れて飼っていただけでした。

小戸川自身、病気が治るまで猫が「本当に猫だ」という確信はなかった点がユニークです。

これで小戸川が真犯人ではないと分かりました。

では一体、誰が女子高生(アイドル)を殺したのでしょうか?

物語のラストシーンに迫っていきます。



『オッドタクシー』は衝撃のラスト

オッドタクシーの最終回では、これまでの伏線が一気に回収されていきます。

真の黒幕は、アイドルグループに途中加入していた和田垣でした。

ほかにも色々な事実が明らかになりますが、本記事では細かくすべてを語りません。

和田垣の正体

実は登場人物が、動物ではなく人間だった」真相の直後に、和田垣が三矢をロープで絞め殺すという衝撃的な回想が入ります。

「アイドルになるために何でもする」という強い気持ちが、和田垣を殺害に及ばさせる動機として機能してしまいました。

表面上の三矢(アイドルの女子高生)殺害の犯人は、殺人犯を知らずに遺体を処理したアイドルグループのセンターの二階堂ルイとなっています。

和田垣は、周りにすべての罪をかぶせたのです。

和田垣とYouTube公式オーディオドラマ

実は、和田垣が犯人だと分かる伏線がありました。

YouTube公式オーディオドラマの2.5話です。

アイドルグループ「ミステリーキッス」3人が、それぞれ秘密を共有することで仲良くなろうとする内容でした。

  • 一人につき、3つの秘密を書いていきます。

ですが、「大きい秘密」と「小さい秘密」、更には「ウソ」の3つを書くことで、どれが本当の秘密か分からないようにしています。

  1. 整形
  2. ネットにメンバーの悪口を書いた
  3. パパ活
  4. 枕営業
  5. 殺人
  6. 結婚している
  7. 芸人と交際
  8. 線香
  9. 死体遺棄

この中に3つのウソがあるのですが、3つ以上ヤバそうなトピックがあったのでメンバー達は震えています。

この答え合わせは、11.10話the cat is out of the bag.」(意味は、秘密をうっかり漏らしてしまうという口語表現です)にありました。

11.10話では、二階堂を除くメンバー2人が「ウソがどれだったのか」を告白しています。

そこで「結婚している」と「線香」がウソだと分かります。

ただこれで、ウソが1つしか残っていないということで、2人はまた震え上がったのでした。

ここでアニメの本ストーリーと組み合わすことで誰が何を書いたのかが大体、浮かび上がってきます。

  • 殺人(和田垣)→アニメのラスト
  • 結婚している(ウソ 和田垣)
  • 芸人と交際(二階堂)→アニメ
  • 死体遺棄(二階堂)→アニメ
  • パパ活(市村)→アニメ
  • 線香(ウソ 市村)

和田垣が「殺人をした」と判明するのは、最終話のラストです。

そのため、不明なトピックは以下の4つに絞られます。

  • 殺人
  • 整形
  • ネットにメンバーの悪口を書いた
  • 枕営業

さすがにこれだけで、真犯人を絞りきるのは困難だったのかもしれません。

二階堂と市村ともに2つずつどれを書いたのかは、アニメ『オッドタクシー』とYouTube公式オーディオドラマを同時並行で観ていると分かります。

しかし、三矢(のフリをした和田垣)が秘密としてどれを選んで書いていたのかが、まるで検討がつきません。

そのため、YouTube公式オーディオドラマが和田垣の殺人に関する伏線だったと気づくのは、おそらくアニメ本編をすべて見終わってからでしょう。

『オッドタクシー』のボールペンを考察

盗聴器つきの「幸せのボールペン」は公式YouTubeのラジオを全て聴くと、ボールペンを保有していた持ち主が、以下のように変わっていくと分かります。

タエ子→剛力→小戸川→山本→市村しほ→二階堂ルイ→馬場→柴垣→今井→小戸川→馬場→大門弟→大門兄→プロデューサー→タエ子山本→ヤノ→山本→二階堂ルイ→和田垣さくら→渋谷駅新南口の自動販売機の下→長嶋聡→タエ子→和田垣さくら

また、和田垣が最後に持っていたボールペンである「幸せのボールペン」は、実は公式MVにも、ひっそりと登場しています。

渋谷駅新南口で見つかったという幸せのボールペンですが、実は長嶋が見つける前に、公式MVで発見されていたのです。

『オッドタクシー』は最後で誰かが殺される?

映画1

最終話のクライマックスシーンでは、アイドルグループの一人だった和田垣が「幸せのボールペン」を持って歩いています。

長嶋は殺されてしまったのでしょうか?

真相は、闇の中です。

最後に和田垣が小戸川のタクシーへと乗り込むという幕切れでアニメは終わりを告げています。

『オッドタクシー』を観た感想と評価

アニメ『オッドタクシー』は最初から最後まで、ハラハラさせてくれる展開が続きました。

とけい

とくに伏線が一気に回収された最終話には、大興奮です。

まるで、どんでん返し映画を観賞したかのような満足感がありました。

これまで映画しか見てこなかったとけいですが、「これからはアニメにも注目しよう」と思うきっかけをくれた作品の一つです。

まとめ

最初から『オッドタクシー』は2回以上、鑑賞しても楽しめるように作られたアニメでしょう。

  1. 小戸川の世界(視点)を楽しむ1周目
  2. 客観的な世界から見た小戸川を楽しむ2周目

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とけい
映画大好きライターの「とけい」です。